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連載 幕末・維新の桑名藩シリーズ 郷土史家 西羽晃(著)

幕末・維新の桑名藩シリーズ22
慶応3年のお札降り

慶応3(1867)年7月ころから三河吉田城下(現在の豊橋市)で「お札」が降ってきたのが最初と言われています。その後は東海道の宿場を中心として降り、東は江戸、西は広島でも降ったと言われます。お札が降った家では酒食を提供し、庶民は「ええじゃないか」と踊り狂ったといわれ、日本中が狂ったように浮かれました。その中で幕府を倒す運動が進められたので、幕末の不安定な政治状勢から庶民の目をそらせるためであったとも言われます。

桑名では何月ころははっきりしませんが、お札が降ってきました。福江町に住んでいた町人が記録した「豊秋雑筆」によりますと、桑名の町でお札が降った家は約190軒ほどを書き留めています。これは自分が確認した分だけであって、他にも数百軒あったと書いています。「誠にふしぎ、前代未聞の事にて、これ天変なり、いづくにても踊り舞ふこと、老若男女のへだてなく、乱心同様なり」と記しています。

桑名でお札が降った町内は、福江町、鍋屋町、寺町、船馬町、舟町、宮町、伝馬町、新町、萱町、紺屋町、鍛冶町、吉津屋町、掛樋、馬道、京町、片町、江戸町、川口、宮通、三崎通、殿町、魚町、本町、小網町、宝殿町、堤原など桑名の城下町ほぼ全体にわたっています。有力な商人の家だけでなく、大工・魚屋・米屋・桶屋・樽屋・建具屋・畳屋・たばこ屋・花屋・菓子屋・糸屋・日雇・風呂屋など多くの職業の家に降っています。

降った物は多数の種類があります。なかでも多いのは伊勢神宮をはじめ、三輪・春日・多度・一目連・津島・多賀・北野天満・伏見稲荷・矢田八幡・神田明神・三島・神館・知立明神・熱田などの神社。仏教関係では妙法蓮華経・谷汲観世音・鞍馬毘沙門・木の本地蔵尊・善光寺・野瀬妙見・嵐山虚空蔵・永平寺・六字名号・秋葉寺などなどです。お札だけでなく、銅製の不動明王座像・牛頭天王巻物・大黒天木像・猿田彦水晶巻物・大黒天金像・八幡宮金像・親鸞聖人画像なども降ってきました。

これらは天から降ってきたわけでなく、誰かがばらまいたのでしょう。

このように多くの種類のものがあること、またほぼ全国的に行われていることは、少数の人によって行われたのでなくて、組織的な大勢の人によって行われたと思われます。

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