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連載 桑高百周年シリーズ 郷土史家 西羽晃(著)

桑高百周年シリーズ14
若松實と朝鮮通信使

若松實は1912(明治45)年大垣市で生れました。幼少のころ桑名へ移り、1929(昭和04)年桑名中学を第2回生として卒業しました。その後は天理外国語学校(現天理大学)朝鮮語科に進学。1939年京城帝国大学(現ソウル大学)法文学部朝鮮語科を卒業しました。翌年から名古屋市役所に勤務しました。1967年、55歳で定年となり、名古屋市役所を退職。同年桑名市から愛知県甚目寺町に転居しています。

その後は得意な朝鮮語(ハングル文字)を駆使して、朝鮮の庶民を紹介する書物の翻訳や朝鮮に関する著作を著しています。

  • 著書
    • 『対訳詳解韓国ことわざ選』(1975年)
    • 『韓国の吉凶禍福』(81年)
  • 編訳
    • 『韓国のなぞなぞ 楽しく学ぶ韓国語 対訳注解』(1977年)
    • 『韓国の古時調 対訳注解』(79年)
    • 『韓国の冠婚葬祭』(82年)
    • 『韓国古調風流譚』(83年)
    • 『対照訳注 韓・日ことわざ事典』(85年)
    • 『韓国風流小ばなし』(85年)
    • 『韓国文手紙の書き方』(87年)

これらの著作をする中で、1982年、運命的な出会いがあります。名古屋八事・興正寺で朝鮮通信使の絵巻が発見された新聞記事を見た若松實が触発されて、自分が持っている朝鮮通信使の紀行文の翻訳を思い立ちました。その本は韓国の古書店で買い求めていた本です。それを彼は日本語に訳しました。そして1988年から99年にかけて、名古屋の日朝協会愛知県連合会によって出版されました。朝鮮通信使関係が17冊、その他が5冊です。その後の朝鮮通信使の研究に大いに役立ち、日韓交流の基礎資料となって、現在も広く利用されています。

彼は1994(平成06)年、不幸にして、交通事故で亡くなられました。

2008年、ご遺族から朝鮮通信使関係の翻訳本は桑名市立中央図書館に寄贈されました。また一部は桑高創立100周年記念に桑名高校図書館に寄贈されました。

(おわび 三重県立桑名中学校(2)で桑名中学の水泳選手・小出晴彦のことを書きましたが、小出義彦の間違いでした。義彦は戦死しているようで、1960年のローマ・オリンピックの水泳総監督になったのが小出晴彦でした。晴彦も桑名の出身のですが、富田中学校の卒業です。晴彦と義彦との関係については、目下調査中です。改めて書きます。)

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